
AGA(男性型脱毛症)とは
そもそもAGA(男性型脱毛症)とはどういうものなのでしょうか。
脱毛症には、大きく分けて2つの種類があります。
ヘアサイクルの中の成長期の期間にも関わらず、髪が抜けてしまう成長期脱毛と成長毛が休止期に入って脱毛する休止期脱毛で、AGA(男性型脱毛症)は休止期脱毛の代表例です。
男性型脱毛症はAGAともよばれ、最近になってこの名前が普及してきたのは理由があります。
近年、AGAのメカニズムが解明されたことによって画期的な治療薬フィナステリド(商品名:プロペシア)が登場したことがきっかけです。
これによってAGA治療に勢いがついてテレビCMなどでこの名前を聞いたことのある人もいると思います。
ではAGAとはどのような病気なのかというと、成人男性に見られる病気で、前頭部や頭頂部の髪の毛がある一定の進行パターンで薄くなっていくのが特徴です。
40代男性の場合発症率30%以上と報告されています。
2400万人が悩む薄毛
リーブ21が2015年に行った調査では成人男性5246万人中、推定2449万人が脱毛が進んでいると感じているというデータが出ています。
男性人口 | 脱毛が進んでいると感じている人の割合 | 脱毛が進んでいると感じている人の推計値 | |
10代(15~19歳) | 302万人 | 8.5% | 26万人 |
20代 | 636万人 | 28.4% | 180万人 |
30代 | 795万人 | 42.6% | 339万人 |
40代 | 921万人 | 42.6% | 392万人 |
50代 | 762万人 | 48.2% | 368万人 |
60代以上 | 1860万人 | 61.5% | 1144万人 |
合計 | 5276万人 | 男性合計(推定値) | 2449万人 |
髪の毛と男性ホルモンの関係
思春期になると、男女ともに男性ホルモンの影響によってヘアサイクルが変わっていきます。
男性の場合は、子供の間は髭や胸毛は軟毛なのでほとんど目立ちません。しかし、思春期になると男性ホルモンの作用によって髭や胸毛は硬毛化していきます。(参照:軟毛と硬毛)
女性も男性ホルモンを持っていますが、女性の場合は、顔や胸部分の毛は軟毛のままです。ただし、腋毛や陰毛は男女ともに男性ホルモンの影響で硬毛化していきます。
このように男性ホルモンには思春期には体毛を硬化させて強くする作用がある一方で、実は成人男性のAGAの原因にもなっているのです。
AGAのメカニズムは長年謎でした。男性型脱毛症の発症が、男性ホルモンと遺伝が関与しているということがわかったのは1942年のことです。アメリカの解剖学者J・Bハミルトンが行ったハミルトン実験によって初めて生化学的に実証されました。
ハミルトンは思春期前後に去勢されて男性ホルモンを作ることができなくなった人に男性ホルモンのテストステロンを投与し、発毛のパターンを観察しました。
思春期より前に去勢された人はその後の発毛パターンが一定します。
しかし、このうち家計に男性型脱毛症がいる人はテストステロンを投与すると脱毛が始まりました。
また、去勢された時点ですでに脱毛が進行していた人の場合、去勢後に脱毛の進行が止まりますが、テストステロンを投与すると再び脱毛が進むことがわかりました。
つまり、遺伝的にAGAになりやすい人は男性ホルモンによって薄毛を引き起こす可能性があるということです。
近年解明されたAGAの原因とそのメカニズム
では実際に男性ホルモン(テストステロン)によってAGAが発症するメカニズムを見ていきましょう。
代表的な男性ホルモンの一つであるテストステロンは血液中を流れて細胞の中に入ると5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。
このDHTが細胞内の男性ホルモン受容体と結合して細胞の核の中に入り、標的遺伝子のプロモーターに結合してタンパク質誘導を行うことで「TGF-β」という脱毛因子(タンパク質)を作ります。
TGF-βは髪の成長に関わる角化細胞の増殖を強力に抑制したり、細胞の死(アポトーシス)を引き起こすという特徴があります。
そのため、毛乳頭細胞でTGF-βが分泌されると、毛乳頭は萎縮していきます。
そしてTGF-βの脱毛作用によって通常2年から6年かかるヘアサイクルの成長期が数ヶ月から1年と異常に短くなってしまいます。その結果、髪が成長しきる前に抜けてしまい薄毛となってしまうです。そして異常なヘアサイクルが続くと、髪が抜けたままの期間が長くなり、次第に毛包の周りの毛細血管が
つまりAGA(男性型脱毛症)の発症は男性ホルモンによって毛乳頭細胞から分泌されるTGF-βが原因ということです。
そしてDHTとアンドロゲンレセプターが結合してTGF-βを分泌するときのアンドロゲンレセプターの感受性が遺伝によって決まるのです。つまり遺伝的にアンドロゲンレセプターの感受性が高い人の場合、DHTとアンドロゲンレセプターが活発に結合し脱毛が進行しやすいということです。

AGAを治すためには...
従来、抜け毛、薄毛対策と言うと髪に良いと言われている育毛剤を試すという方法しかありませんでした。
というのも、AGAの原因が解明されるまでは、男性型脱毛症は「遺伝や人種的な差による生理現象」と思われていたのです。
しかし、2005年12月にある治療薬の登場によりこの状況が大きく変わりました。
それがAGA治療薬フィナステリド(商品名:プロペシア)です。この薬を使うためには医師の処方箋が必要になってきます。
フィナステリドはテストステロンが細胞内に入ったところで5α-リダクターゼの作用を妨げることでDHTの生成を抑制します。
その為TGF-βが生産が抑制され、脱毛を防止するというメカニズムです。
また、生成されてしまったTGF-βの働きを弱めるFGF-5Sという因子が含まれた物質も脱毛を防止する効果があります。
それにはBUBKA(ブブカ)やチャップアップ、イクオスといった育毛剤が知られています。
毛髪の成長に直接関連する外用薬ではミノキシジルがあります。もともとは高血圧患者のための降圧剤として生まれたもので、血管拡張作用を発揮していると考えられていましたが、毛乳頭細胞に働きかけることでアデノシンを分泌させて、VEGFやKGFと言った血管内皮細胞増殖因子の産生を促進し、結果的に毛包を大きくすると報告されています。
ミノキシジルが含まれる育毛剤では大正製薬のリアップシリーズが有名です。
またミノキシジルが含まれている内服薬であるミノキシジルタブレットは強い発毛効果があることから根強い人気があります。
このように治療薬や育毛剤は数多くありますが、AGAの原因やメカニズムを知っておくことで、正しく選ぶことができるようになります。その意味でもAGAについての理解を深める事は大切です。
AGAスキンクリニックなどのAGA専門のクリニックでは無料カウンセリングを行っています。こちらもチェックしてみてください。