薄毛対策や前立腺治療に良いとされ、サプリメントとして発売されているノコギリヤシ。コンビニでも見かけますし、TVなどでも見る機会は増えました。使ってみたいけど、副作用が気になる…という方もおられると思います。
今回はノコギリヤシの副作用と服用する際の注意点を見ていきましょう。
ノコギリヤシとはなにか
CMなどでおなじみのノコギリヤシ。そもそもノコギリヤシとはどんなものなのでしょうか?さっそく解説していきます。
ノコギリヤシについて知る
ノコギリヤシとはその名の通り、ヤシの一種です。ノコギリパルメットという名称でも知られています。
アメリカ南西部の固有種で、主に大西洋岸平野からメキシコ湾岸低地に見られます。高さ2~4mまで成長する比較的小さい植物で、成長速度は遅く、丈夫で長寿。
樹齢500年を超えると推定される個体もあります。葉柄にはトゲがあるので触る際は注意が必要です。冬の初めには赤い実をつけます。果実はとても固く、弱火で7分前後、好みの濃さまで煮だすことでハーブティーとしてもいただけます。
古くからフロリダのセミノール族が、この果実を滋養強壮薬として使用していました。ノコギリヤシには全身の血行をよくするという作用があり、その作用により体内の不要な物質を取り除き、全身に栄養が行き渡ることによって滋養強壮の効果が生まれるのです。
中国では漢方薬として使われています。果実には脂肪酸やフィステロールが多く含まれ、そこから抽出されるものが薄毛や前立腺肥大に効果あるということが分かっています。
ではどのように薄毛に作用していくのでしょうか?
ノコギリヤシはAGA治療薬のプロペシアと似た働きで男性ホルモンに作用し、薄毛の進行を緩和すると言われています。
男性ホルモンには種類があります。テストステロンと呼ばれるものとジヒドロテストステロンと呼ばれるものです。テストステロンはリアクターゼと呼ばれる酵素と結びつき、ジヒドロテストステロンに変化します。このジヒドロテストステロンは悪玉男性ホルモンとも呼ばれ、抜け毛やニキビの原因となることが分かっています。
またテストステロンは性欲を向上させますが、ジヒドロテストステロンは性欲を減退させます。ノコギリヤシの果実から抽出されるオクタコサノールやβ-シトステロールという成分が、リアクターゼの働きを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成が抑えられるのです。そして抜け毛が止まるという原理になっています。
伝統療法として古くから用いられてきたノコギリヤシですが、その研究はまだ始まったばかりです。1960頃から研究や臨床実験が始まり、20世紀に入ったのちに有効性が確認されはじめました。
しかし、2011年にアメリカ国立補完統合衛生センターが行った研究によれば、ノコギリヤシはプラセボと同等の効果しかなく、利用を支持するにたる科学的根拠は乏しいとされています。このように現在でもまだ研究結果が分かれています。
さらなる研究が必要でしょう。
日本ではサプリメントとして様々なタイプが発売されています。錠剤タイプもありますし、お茶として出されているものもあります。
また、薄毛に特化したサプリメントもあれば、前立腺肥大による排尿障害の方を対象としたサプリメントもあります。特に日本製のサプリメントは、ビタミン類や亜鉛など、その他の栄養素も一緒に含まれるものが多いです。それぞれ配合が違いますので、自分の目的と好みに合ったものを選ぶ必要があります。
ノコギリヤシエキスの効果【口コミ】
- 3か月ほどで徐々に抜け毛が減った。
- 発毛とまではいかないが、抜け毛はストップした。
- 抜け毛が止まったような気がする…思い込みかもしれない。
- まつ毛が長くなった。(女性)
- 薬よりも穏やかな効きかた。2週間ほどで効果がでた。
- トイレにいく回数が減った。
- 夜起きる回数が減った。
- 髪が細くなってしまった。
- 全然効果がなかった。
- 服用したら吐き気がするのですぐにやめた。
- 効果は感じないが値段が安いので続けている。
- 効果がなかったので買うのをやめた。
など…
発毛はしないが抜け毛は止まったという意見が多いです。効果がでるまでは3か月~半年という声が多く聞かれます。
女性では、まつ毛が長くなったという方も!しかし、全く効果がなかったという方もおられますし、逆に髪の毛が細くなってしまったという方もおられました。
前立腺肥大による排尿障害(頻尿や残尿感)にも効果がありますので、それを目的として服用されている方たちからは賞賛の意見が多かったです。「夜中にトイレに行く回数が減った」という喜びの声が多く見られます。
ノコギリヤシの副作用【症状】
ノコギリヤシの副作用はほとんどないけど...
天然由来の成分だから副作用はないと考えてはいけません。ノコギリヤシから抽出される成分のオクタコサノールやβ-シトステロールは医薬品としても研究が進められています。
報告数は多くはありませんが、吐き気や腹痛を感じた人もいるようです。特に過剰摂取してしまった場合、吐き気などが報告されています。
ほとんどないとは言え、絶対に気を付けないといけないのが副作用。次にその症状を見ていきましょう。
吐き気
胃への負担が原因です。体質によるものもあります。後に服用し、胃の負担を減らすことで吐き気を抑えられることもあります。普段から胃薬を服用している方は、ノコギリヤシを服用する前に必ず医師に相談をするようにしましょう。
胃痛・腹痛
同じく原因は、胃への負担と体質によるものです。胃が弱いと感じている人はより注意が必要です。
こちらも食後に服用することで胃痛・腹痛も抑えられる場合があります。
下痢・便秘
下痢や便秘になる原理はハッキリとは分かっていません。腸はホルモンの影響を多く受けます。ホルモンバランスに関係するノコギリヤシの服用により腸に症状がでると推測されます。
またお茶タイプのノコギリヤシですと、冷たくして飲んだ場合、お腹を冷やしたことが原因で調子を崩す場合もあります。
下痢と便秘は一見、逆の症状です。しかし、どちらもホルモンバランスの崩れにより簡単に引き起こされてしまうのです。腸は第2の脳とも呼ばれることもありますし、多くの神経や血管が集中している箇所でもあります。腸内環境の崩れから他の心身の不調へと繋がることもあります。
たかが、下痢や便秘と軽視してはいけません。服用する際は注意して、腸内のことも気にかけておきましょう。
服用する上での注意点
日本では食品扱いのノコギリヤシですが、一部の国では医薬品扱いです。日本ではサプリメントだから…と言っても服用上のルールはあります。どのサプリメントにも言えることですが、必ず製品に書かれてある服用方法を読み、そのルールを守ってお付き合いするようにしましょう。
過剰摂取しない
過剰に飲んだからといって効果が促進されるわけではありません。それどころか、逆に害がでる場合があります。必ず、容量を守って飲むようにしましょう。
容量は体質や体格によって変わりますが、サプリメントですと、1日あたり平均200~320mが目安推奨量になります。400m摂取するように勧めているサプリメントもありますが、初めは少量で様子をみたほうが無難です。
副作用が出た場合服用をやめる
副作用にはその原理がハッキリとわからないものもあります。とにかく不調・不快な症状がでたら直ちに服用を中止しましょう。そして医師の診断を受けましょう。
特に便秘は徐々に発現し、気が付くのが遅れる場合もあります。服用する際は事前に副作用について知っておき、それらの症状について注意深く観察しながら服用することが必要なのです。
他の薬を併用する場合、医師に相談する
摂取する物質や食品の組み合わせにより発現する副作用もあります。
1.抗血液凝固剤・抗血小板薬
ノコギリヤシを服用すると血行がよくなります。血液がサラサラになる薬と併用すれば、過剰にサラサラになってしまい出血時に血が止まりにくくなります。
2.造血作用薬(鉄化合物製剤)
いわゆる貧血の薬です。ノコギリヤシとの併用により、成分の吸収が阻害されてしまい、十分な効果が得られなくなる可能性があります。
3.ホルモン剤(ホルモン療法)
ホルモンバランスに関連しているため、他のホルモン剤を飲んでいる場合も注意が必要です。ピルやステロイド剤を服用している方、その他のホルモン治療を受けている方はよく確認しておきましょう。
4.他の育毛薬
他の育毛剤との併用にも注意してください。亜鉛とノコギリヤシの組み合わせのように、相乗効果が期待できるものもありますが、逆に害となってしまうものもあります。例えば、育毛薬のプロペシアと併用することで性欲が減退したという声も複数聞かれます。これらの薬を服用されている方はもちろん、それ以外の薬を服用されている方も必ず事前に医師に確認してからノコギリヤシとお付き合いしましょう。
女性は特に注意
妊娠中のホルモンバランスは赤ちゃんに影響を及ぼします。特に赤ちゃんが男の子の場合、子供のホルモン異常に繋がってしまいます。妊娠中の方だけでなく、妊娠しているかもしれない方も服用は控えましょう。
また、授乳による赤ちゃんへの影響もあります。授乳中の方も授乳が終わるまでは服用をやめておくべきです。更年期障害の治療薬やサプリメントを飲んでいる方も注意が必要です。
これらに含まれるエストロゲンとノコギリヤシの組み合わせによりエコノミークラス症候群(=静脈血栓塞栓症)の原因となる可能性があります。服用されている方は必ず事前に医師に確認をしましょう。さらに女性でヒゲが生えてしまったという例もあります。女性の方は特に気を付けましょう。
【まとめ】適切な量を服用し、副作用が出た場合も医師に相談し判断する
副作用の報告は少なく、その症状も軽度で一時的なものがほとんどです。しかし、原理がわかっていないものもありますし、ホルモンバランスによって引き起こされる副作用は複雑で恐ろしいです。
他の薬を服用されている方は事前に医師に確認をとり、防げる副作用は防いでおきましょう。そして、必ず決められた用法と容量を守り、副作用がでたらすぐに医師に相談しましょう。これらは抜け毛が減ることよりもずっと大切なことです。その上でしっかりと抜け毛対策をしていきましょう。