
軟毛と硬毛
毛髪とは人の毛の総称で、表皮から発生する皮膚の一部です。
ヒトの体には合計で約500万本もの毛が生えていますが、体毛には実は2種類の毛があることは知っていますか?
ヒトの体毛を分類すると軟毛、硬毛の2つに分けることができます。この2つは文字通り軟らかい毛と硬い毛という意味で、その中でもさらに頭髪やヒゲ、腋毛、陰毛などの長毛と眉毛、まつ毛、鼻毛などの短毛に分けられます。
この軟毛や硬毛というのははっきりと区別されているわけではなく同じ毛でも様々な要因によって入れ替わったりすることもあります。
例えば思春期になると軟毛だった毛が男性ホルモンの影響によって硬毛に変わったり、年をとってくるとまた男性ホルモンの影響で硬毛だった頭髪が軟毛になったりすることもあります。つまり何らかの原因によって軟毛が増加してしまうと結果的に「薄毛」と呼ばれる状態になってしまいます。
このように毛髪が抜けることも一つの要因ですがAGAは男性ホルモンの影響で頭髪が軟毛化することも要因になっています。
(参照:髪の毛と男性ホルモンの関係)
髪の毛が生える仕組み
毛髪は皮膚の一部であると言いましたが、では毛髪はどのようにして発生するのでしょうか。そのメカニズムを解説します。
まず私たちが胎児になる前の受精卵の時、胎生3週から胎生8週の間に皮膚が発生します。
胎生9週をすぎる頃に原始毛芽といって毛髪の発生初期の毛包(毛穴)が形成されます。毛芽は表皮から真皮層に向かって伸びていき、胎生6ヶ月ごろには全身の毛包が完成します。
こうして一度毛包が出来上がると毛穴の数は死ぬまで変わりません。
毛包のうち皮膚表面に見える部分は一般に毛穴と呼ばれます。毛包は毛髪を包んでいる部分です。毛髪は皮膚から出ている毛幹と、皮膚の中にある毛根という部分がありますが、この毛根を包んでいるのが毛包です。
とても小さな器官ですが、外毛根鞘から内毛根鞘小皮まで5層にもなる複雑な器官です。
毛包の周りには無数の毛細血管があり、髪の成長に必要な栄養や酸素などを毛包に送っています。
毛根の下の方を見ると二股に別れているような部分の毛球があります。このくぼみの部分が毛乳頭と呼ばれる部分で、毛球の内部には毛乳頭を取り囲んで毛母細胞が存在しています。
毛母細胞は毛細血管から栄養や酸素を含んだ血液を受け取って細胞分裂を繰り返すことによって毛髪が伸びていきます。つまり毛母細胞こそが髪の毛を作っている細胞ということです。

では髪の毛はどこまでも伸び続けるのかというとそうではありません。
髪の毛はヘアサイクルと呼ばれる一定の周期で成長しては抜け落ちを繰り返しています。髪が発生してから抜け落ちるまでの髪の一生を理解することは薄毛治療にもとても重要になってきます。